くるっとちゃきちゃき

一度だって交わることのないこの世界。

march

僕の気持ちが落としものなら君の気持ちは忘れものだね。

 

 

 

 

 

誰かに求められたいと、ずっと思っている。気持ちも、体も、存在も、仕事も、何もかも。あまり必要とされていないんじゃないかとどこにいても不安で、だから私を求めてくれる人のことが好きだ。こんな私なのに、いつも居場所を与えてくれる貴方が大好きで大好きで愛おしく、何よりも大切だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、呼吸が苦しくなって、私の世界から色が消えた。

もう返ってこないそれを眺めて、取り乱して泣き叫んで、呼吸の仕方すら分からなくなって。

貯めておいたお風呂に逃げ込む。落ち着いて、落ち着いて、消えたわけじゃない。いなくなったわけじゃない。大丈夫、落ち着いて。

自分の手で胸を押さえながら呼吸を整える。ゆっくりと目を開けて見たその世界が、やっぱりさっきより色褪せて見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷たい雨が降る日だった。

あの日も、雨だった。ドロドロになって、お互い雨男雨女だねと笑ったあの日。

泣いていませんか?

苦しい思いしてませんか。悲しい思いしていませんか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もういいやと思い、帰ってきた家族に伝える。私、大好きな人にふられちゃった、と。

酔っ払って帰ってきた母は、何だ?不倫か?と騒ぎだした。正解である。違うよとごまかす私。その後は枕営業とこの世の道理について語り出していた。ちなみに母は水商売勤務ではない。まぁそんな世界でなくても、体を求められることがこの世にはあってだのどうのこうの。

ふられたての娘にそんなこと話すか、と思って少し笑えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涙を流しすぎて、目が痛い。開かない。なんだか疲れた。自分にも、この世界にも。

 

 

もう帰ってこないあの愛おしい日々に想いを馳せて眠ってもいいですか。大好きな手を思い出して眠ってもいいですか。自由だよね。いいよね。

 

 

 

 

 

 

さて、女子フリーを見よう。

酔っ払って落ち込み始めた母を助けよう。

大丈夫、大丈夫、貴方を好きでいられる私は強いはず。大丈夫。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ。もうすぐ。ドキドキ。

怖い。怖い。

君のこと思って今日はゆっくり眠れます。それが全て、僕の全て。それでいいそのままでいい。

 

 

 

好きだよ。大好き。私はここにいる。ここにいるからね。

 

 

 

 

おやすみを言えずに眠ることが、おはようがもらえない朝を迎えることがこんなに怖いなんて。

 

 

 

 

 

 

 

あいたいよーーーーー

ばかやろう!